We Are What We Choose

純ジャパ30歳を超えてからの”HR&Entrepreneur”アメリカ留学日記です。28歳で渡米を決意、29歳失敗。30歳失敗。31歳で渡米。人事コンサルティング会社で約10年働きました。2018年8月からアメリカ カルフォルニア州にある、UC Berkeley Haas Business School主催の「Berkeley Haas Global Access Program」でEntrepreneurship(起業家精神)を中心に勉強中。自分が学んだこと・感じたことを自由に書いています。

留学プログラムについて①「Beyond yourself」2019/1/19

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The entrance of Berkeley Hass Business School

 

昨日、私が受講しているBHGAPプログラムが始まりました。

Berkeley Haas Global Access Program | Home

(HPがだいぶださくなっている・・・)

オリエンテーションとして、丸一日を使ったわけですが、キャンパスに関わるインフォメーションに始まり、ケーススタディ模擬授業、キャンパスハイキングと初日にしてはなかなかの行動量(&speaking)を求められ、少々ハード。キャンパスハイキングはコミュニケーションをとる上ですごく良い機会だったな。沈黙を恐れるところがあるなーと自分に反省しながらも、手を上げてきちんと自分の意見を言うということはクリアできた。もったいないから、記憶に残ったことを少し残そう。

 

1. そもそも「BHGAPプログラム」とは?

 

UC Berkeleyとはアメリカの州が運営する日本でいうと国公立大学のひとつで、Hass School of Businessの全米7位、世界ランキングは10位(日本の大学は残念ながらランク外)。ランキングが全てではないですが、世界で10位って、とにかくすごいですよね。

rankings.ft.com

 

このプログラムは、年齢経験はばらばら。学部生や院生、プロフェッショナルが各国から集まり共に勉強をしていくというプログラムなのです。期間は最大1年(2semester)でもし希望する場合は、OPTという仕事をするためのビザ1年分を発行してくれるというプログラムになっています。私がこのプログラムを応募したのは以下の3つが最大の理由。

  1. なんといってもHass。カリキュラム・クラス・教授が全て魅力的
  2. 集う仲間がグローバルかつ多様溢れている
  3. 短期で費用はMBAの1/3。応募条件が英語不得意者にとってはKind溢れる

また、シリコンバレーを中心にBay Areaの企業訪問をする機会や、投資家や起業家としての実績のある教授が私たちを囲んでくれます。短期で費用を抑えながら、こちらでのネットワークやビジネス知識をつけたい方にはおすすめなプログラムだと思います。

 

2. Beyond Yourself

 

Berkeley Hass Business Schoolにはfour principlesと呼ばれる学生にこうあってほしい姿みたいなものがあります。

 

haas.berkeley.edu

  • Question the Status Quo(現状を疑おう)
  • Confidence Without Attitude(態度以外で自信を示そう)
  • Students Always(常に生徒でいよう)
  • Beyond yourself(自分の一つ上の目線で考えよう)

シンプルで関連しているようで、これからこの4つを信じて行動してみようと思う。きっと大変な時も、この4つに立ち返ることによってきっとうまくいくはずだ。

 

3. If you don’t risk anything, you risk even more.

 

philosiblog.com

 

どうやら哲学的なお話だそうだ。模擬授業の中で教授がこの言葉を引用した。

訳すと、「リスクを取らないことが最大のリスクだ」ということなんだが、やはり人間。失敗は怖い。

 

  • 自分はチームに貢献できるのだろうか
  • 十分に吟味した結論だろうか
  • 空気を読まない発言をしていないだろうか(バカだと思われたくない、嫌われたくない)
  • 英語、伝わるだろうか。。。

 

そんな言葉にすれば小さなリスクを、現在の自分は大きなリスクにしてしまう。

エゴとの戦いだ。

 

しかし教授はそんな「恐怖」に対してこう言った。

 

「We can learn from each other(私たちは、他人から学ぶことができる)」

 

どちらかといえば、チームワークは苦手な自分は、チームを思いやる気持ちを持ちながら、自らの意見をバランスよく言っていこう。日本語ではなんでもない議論でも、英語ではプレッシャーがかかる。でも、エゴイストになる必要性は感じないから、小さく小さくチャレンジしてみよう。

 

 

 

Masa

 

 

Chap4: 面接(Interview)

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Duo Library @ UC Berkeley

 

さて、今回は面接に対して学んだことを振り返っていこうと思います。目新しいものはないかもしれませんが、”心構え”としてきちんと押さえておくことが大事だなと思っています。

 

 1. 面接に対する考え方

 2. 質問の種類

 3. バイアスとエラー

 4. どうすれば正しい面接ができるか

 

  

1. 面接に対する考え方
 
  • 面接は特別なテストではなく、あくまでもひとつの手段・方法である
  • 但し、ランダムに話せる「会話」ではない
  • 面接は「評価」が目的であるため、公平性と妥当性を担保する必要がある。
  • 公平性と妥当性を担保するためには、構造化されている事が重要。
  • トレーニングを受けていない面接官は、さまざまな知覚的、判断的な誤りを招く
 
従って、最も信頼性と妥当性が高い面接を実施するためには、
 
  1. 「質問を標準化」し、
  2. 「回答に対するスコア基準」をもち、
  3. 「面接官をトレーニング」している必要がある
 
 
2. 質問の種類
 
  1. 仮説に対する状況判断に関する質問(あなたが弊社のチームリーダーになったとしたら、最初の3日間で何をしますか?)
  2. 過去の行動事実に関する質問(あなたが顧客から大きなクレームを受けた時を思い出してください。どんなクレームで、あなたは何をしましたか?)
  3. 過去の状況判断に関する質問(あなたは大学で何の授業が一番好きでしたか?※仮に、広報が募集ポジションだった場合、ジャーナリズムやパブリックスピーチなどに関する授業が好きであるか否かを聞き出す事が目的となる
  4. ストレス耐性に関する質問(なぜ前職を辞めたのですか?プレッシャーがかかった経験はありますか?)
 
3.バイアスとエラー
 
 
(1)知覚的な誤り(解釈の違い)の原因
  • 理想の候補者に対する強いステレオタイプ
  • 前後の応募者に評価が影響される
  • 類似性バイアス(共通項)
  • 身体的魅力(かわいい、かっこいい含め)
  • 否定的な情報(マナーが悪い、借金があるなど)
  • 不明確な判断基準(ばらばらな基準での評価)
  • ハロー効果(一点に集中して全体評価する)
  • 中心傾向(白黒させたくない)
  • 寛大化 or 厳格化(全体的に同じ結果)
  • 人種/性別的な偏見
(2)判断ミス(の原因)
  • スナップ判定(さっさっさと評価をつける)
  • 仮説的な判断(きっと・・・だろうでなんとなく決める)
  • 情報量(余計な情報多すぎ、少なすぎ)
 
 
4.どうすれば正しい面接ができるか
 
  • ”面接だからこそ”測定できるKSAを測定するために面接を使用する(モチベーションではなく、性格でもない、KSAを測る。過去の行動事実やそこから何を学んだか、どう活かしているか、リーダーシップの発揮度など)
  • すべての候補者に質問するための標準化された質問リストを作成する
  • 仕事関連の質問(状況、行動、サンプル、過去の行動)を質問する
  • 得点基準となるキーワードを作っておく
  • 面接後に評価表へ記入する
  • 面接官に正しい採点のつけ方を教える
  • 面接官に面接エラーを回避する方法を教える
 
 
技術的なところは、日本と特に変わりません。が、「動機や性格を評価の基準にしない、標準的な質問と模範回答(キーワード)を作っておく」という点は特に強調されてます。これは基礎として押さえておきたいですね。また、選考の精度を高める点においては、「面接なんてあくまでも一つの手法だからね」という点が大事なポイントですね。なんとなく私たちは面接が”当たり前”になっています。改めて、
 
面接はどんな目的で、
何を見抜こうとしているのか?
と考えるタイミングがあって良いかもしれません。
 
 
じゃあ別の選考方法とは何があるか?ボーリングやキャンプなどの目新しい選考もありますが、どう考えるべきか。大事なポイントは「活躍する社員がとっている行動と同じ行動ができるか」を見る事であり、ボーリングなどでも目配り気配りをしながら人と接しているか、自ら積極的に盛り上げているか、などがあれば、妥当な選考とは言えます。但し、本当にそうなんでしょうか?と考えると、やはりPRの領域を超えられない選考方法で、仮にアメリカでこの方法が試された場合、
 
 
「Job-unrelated
(仕事と関係ない選考)」
 
 
ということになります。差別や不適切な選考に対して、強い法が働くからです。
 
従って、企業側としては告訴されるリスクを負うきっかけになります。
日本でも、その選考が何の目的で何を見抜くものなのか、信頼戦の担保された選考と言えるのかを考えると、あまり肯定的な立場には立てません。新卒採用だから許されるとかではないものだと思いますので、ミスマッチを防ぐためにも適切な選考を企画実施していくべきだと感じます。
 
 
Masa
 
 
 

Chap3: Recruiting(採用)

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  1. リクルーティング(採用)の原則
  2. 採用活動を行う前の準備(Job Analysis)
  3. 選考の原則(何を見抜く?)
  4. 正しい選考とは
  5. 採用担当は「活躍してもらうこと」をゴールにできているか?

 今回は、採用について振り返っていきます。ご存知のように、米国と日本の採用環境は大きく異なります。基本的に、日本は新卒採用を中心に考え経験者採用はその次、という風潮ですが、米国は経験者採用を中心にしています。また、日本で当然のように考えられている「総合職」という職種は存在しません。営業職に配属予定なら「営業職」という「ポジションベース」での募集をかけています。日本で人事をされている方は、「日本のやり方が全てではない」ということをまず認識する必要がありますね。

 

また、採用とは

 

  採用 = 募集(集めて) × 選考(見抜く)

 

で成り立っている、ということを当然のように抑えなければいけません(それ以外にも入社させる、のような考え方はありますがまずは基本分解として2つにとどめます)。上記の考えに基づいて学んだこと・解釈を書いていこうと思います。

 

1. リクルーティング(採用)の原則
  • 「入社したらすぐに活躍してもらうこと」を前提とする
  • 採用したいボジションの仕事を具体化する
  • 具体化した仕事内容に必要な「知識・技術・能力(KSAs)」を言語化する
  • 高いレベルのKSAsを持つ集団を「ターゲット」として設定する
  • 母集団形成に最大限マッチするツールを使い、可能な限り最大の母集団を形成する(PR方法・選考方法)
  • 募集と評価の各段階で応募者の質を高めていく
  • 入社後にレビュー&フォローを行いつつ、最大限リテンションする

 

さて、日本との違いにお気づきでしょうか。「入社したらすぐに活躍してもらうこと」と言う点が大きな違いです。言葉のイメージになってしまいますが、比較するとこんな感じではないでしょうか。

 

  • 米国:入社したらすぐに(1年以内に)活躍してもらいたい
  • 日本:入社したらいつか(3年、5年、10年)活躍してもらいたい

 

こうなってくると、3年以内に活躍している要件に以下の要素が入ってきます。

 

  • 辞めないこと

 

なんです。従って、「辞めずに活躍してもらいたい」という採用要件になりますが必ずしも2つの要件は関連しないため、「誰が必要か」という問に対する回答を曖昧にしてしまいます。「入社後1年以内にXX円の営業成績を出してもらうために採用をしていない」

これが日本の採用を曖昧にする最大の理由です。この曖昧さは、いい点も悪い点もあるので一概に評価できない所が面白いポイントですね

  

また、母集団形成という観点においてはアメリカにも、所謂「求人メディア」というものが存在します。

 

www.livecareer.com

 
最近ではGoogleがこの領域に参入開始。うおーついに来たか、という感じですが今後どうなるのか、非常に楽しみな領域ですね。
 
 
2. 採用活動を行う前の準備(Job Analysis)
 

 「仕事における役割と必要なスキルを具体化し、どんな人材が採用されるべきかを具体化すること」

 
Job Analysisの定義は至ったシンプルです。しかし、日本の採用環境において、きちんと仕事を具体化し、パフォーマンス要因を可視化し、高いパフォーマンス発揮に必要な要件を十分なまでに可視化している会社はほとんど皆無に近しいかもしれません。その可視化度合いにおいては、アメリカにおいても高低あると言われていますが、まずこのアクションがとても重要であるということを押さえておく必要があります。
 
  1. 人事はビジネスゴールを実現するために、採用をする
  2. ビジネスゴールを実現するためには各社員が成果を生み出す必要がある
  3. 成果を生み出すためには、その成果創出に最も適した能力を持った人材が必要である
 
上記の考え方は、サッカーでイメージしてもらうといいと思います。FWには、スピードのある選手を。MFにはテクニックがある選手を。DFには体の強さを持った選手を。スピードだけがある選手を取っても「試合に負ける(ビジネスゴールを達成できない)」可能性が高く、「試合に勝つ(ビジネスゴールを達成する)」可能性を高くするためには、「適材適所」な人員構成で試合に臨む必要があるのです。
 
 
では、具体的に何を可視化する必要があるのか。
  1. 仕事のWhat・How・Why・When
  2. 上記に必要な行動
  3. 行動に伴い使用するツール(Mac book airを使う、C++を使う)
  4. レベルごとの行動基準(高いパフォーマンスの人は...、低い人は...)
  5. 1-4に必要な「知識・技術・能力(KSAs)」

 

上記の1-5までを可視化・言語化することがJob Analysisであり、ここまできちんとやらない(やれない)というのが日本の仕組みではないでしょうか。

 

bermasakeley.hatenablog.com

 

過去のブログでもお伝えした「ビジネスパフォーマンスに直結する成果を具体化して、起案者と参加者が合意すること」理由は、上記のようなJob Analysisがなされていないこと概査たる要因です。採用に置き換えると、以下の点が「なんとなくの採用」を進めてしまう要因です。

 

  • そもそも社員の目標や求める成果が曖昧で「とにかく一緒に働きたいと思えれば誰でもいい」という結論に至る
  • 採用担当と現場のコミュニケーションとして、「どんなKSAsを持った人材を、何人、なぜ」が会話されていない(or 会話がなされていても根拠が曖昧なまま決まる)
  • 人材像を作る採用担当が、そのポジションの仕事を実際に見たり、やってみたり、評価された経験がない
 
 
3. 選考の原則(何を見抜く?)
 
  • パフォーマンス= 「KSAs」×「モチベーション」

 

 上記の考え方をベースに、だからこそ、「KSAs」にフォーカスすることが大事です。選考はあくまでも将来を予測することですが、より普遍的な領域にフォーカスを当て、最大限、選考精度を高めていくことが求められます。KSAsそれぞれの違いは、野球選手に例えると、「知識」はバットの持ち方・振り方を知っているかどうか。「スキル」は知識をもとに練習し身につけたバットスイング。「能力」は結果的にボールを当てる動体視力だったり、筋肉量だったり、どちらかというと先天的な要素です。アメリカ人でも混乱するみたいですが、きちんと言葉で整理しておくと良いですね。

 

www.thebalancecareers.com

 

 

4. 正しい選考とは
 
正しい選考となっているか否かを判断する軸においては、3つのポイントがあります。
  • 信頼性が担保されている選考(何度やっても同じスコアが出る)
  • 有効性が担保されている選考(測りたいものを図っている)
  • 実行後に検証されている選考(測っていたものがパフォーマンスに関係しているかどうかを検証する)
代表的な検証方法として、コンテンツバリデーション、クライリオンリレイテドバリデーションと言う方法を用いる

 
5. 採用担当は「活躍してもらうこと」をゴールにできているか?
 
日本の採用との違いでいうと、とある巨大テクノロジー企業にインタビューをした中で気づいたことですが「採用した人の入社後の評価が採用チームのインセンティブに影響する」と言う仕組みを持つ企業が大半でした。個人的な経験としては、このような評価制度を持つ企業はあまり日本では聞いたことがありません。一般論として、「入社してもらうことをゴールとしない」ということはよく聞かれる話ですが、評価制度に組み込まれていないのであれば「採用チームに期待していることではない」と言うメッセージにもなるので経営者や管理職の目線からするとこの点を目標に置いていいのではないか?と感じます。
 
 
 
次回は、少しDetailになりますが「面接」というトピックを振り返っていきたいと思います。
 
 
Masa
 
  

 

Chap2: 労働法と就業トレンド

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Derived from A CENTURY APART

 

 

  1. アメリカの就業トレンド
  2. アメリカの労働法
  3. 「差別」を証明する方法は?
  4. 日本との違い

さて、今回は「労働法と就業トレンド」について、学んだことを書いていきたいと思います。

 

1. アメリカの就業トレンド

 日本でも外国人労働者に対する規制緩和などが進められていますが、アメリカは従来から”移民の国”として言われるように外国人労働者が多く存在します。中でも最近のトレンドは、ヒスパニック系人種の増加、アジアンアメリカンの増加です。

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(Asianというカテゴリーはこの映画のおかげでホットになりましたね)

 

少し古いですが「A Century Apart(2010年)」で発表されたデータの中では、人口、平均寿命、平均賃金、教育の観点から様々な見解が述べられています。また、学校で学んだ研究結果の中では、就業環境のトレンドとして以下の3点が述べられました。

  1. 人種の多様化が促進されていること(白人・黒人は大きく変わらず、ヒスパック人種とアジアンアメリカンの数が増えている)ということ(上記のレポートではアジアンアメリカンの教育熱心さ、またそこから生まれるハイサラリーが触れられています。) 
  2. これまでの労働人口の中心であった"Baby Boomer世代(1946-1964年生まれ)"がリタイアし、2016年には"ミレニアル世代(1981-1996年生まれ)"が最大規模の労働人口になったとされています。
  3. 移民問題の原因の一つになっているのかもしれませんが、Less-educated people(教育を受けていない人々)の増加も別のデータとしては証明されている、というところです。

※アジアンアメリカンとは、アジア系のNational Origin(主に中国)を持ち、アメリカで生まれた人々ないしはアメリカ国籍を持つ方々を一般的にそのように分類するそうです。

※2000年と2010年を比較した際、カルフォルニアの人口においては、Whiteと分類される人々は57.6%(+6.4%)に留まっており、Asianが13%(+31.5%)、Hispanicが37.6%(+27.8%)となっています(カッコ内は増加率)

 

一方で、GAFAと呼ばれる巨大テクノロジー企業群のGoogle、Apple、Facebook、Amazonなどは全て米国発の企業でベイエリアまたは西海岸に集中しています。従って、このベイエリアがテクノロジーの中心である以上は、優れた技能を持つ人材(代表的な職種はエンジニア)は、海外から獲得するしか手がない状態が今後も一定期間続く、と授業では結論づけられていました(最近は中国も熱いみたいですね)。

 

2. アメリカの労働法

 

アメリカのHRとして働くことを想定する場合、労働法に対する理解は必須とされています。代表的なものだけでもこれだけたくさんあります。

  • Civil Rights Act 1964(TitleⅦ)
  • Equal Pay Act 1963
  • Age Discrimination in Employment Act 1967
  • Equal Employment Opportunity Act 1972
  • Vocational Rehabilitation Act 1973
  • Pregnancy Discrimination Act 1978
  • Americans with Disabilities Act 1990
  • Civil Rights Act 1991
  • Genetic Information Nondiscrimination Act 2008 (GINA)
  • ADA Amendments Act 2008
  • Lilly Ledbetter Fair Pay Act 2009
  • Executive Order 11246

授業中では、「Discrimination」という言葉が何度も繰り返されます。これは「差別」という意味で、やはりアメリカでのこの言葉に対する意識は強烈です。個人的には、こちらに来て最も印象に残った言葉でもあり、私が通うUC Berkeleyはあの Martin Luther King Jr.がスピーチをしたことでも有名で、「Human rights」というものを意識させられる機会が多くあります。

 

差別については、Civil Rights Actから「Race, Color, Religion, Gender, National Origin(人種、肌の色、宗教、性別、国籍)を要因として就業や教育機会に対する意思決定がされてはいけない」と定義づけられており、これが大原則としてアメリカでは根付いています。さらに、障がいを持つ方、妊婦、軍役からの帰任された方々を支援する仕組みが存在します。ただ、法というものでマイノリティが優遇されるような事はなく、仮にマイノリティを理由に採用不合格としたら罰しますよ?というものになっています。

 

事実、日本の企業では「外国人をX名採用する」といった目標を立てて、日本人とは全く別ルートで採用する事も珍しくはありません。この場合、差別とされる可能性もあるのがアメリカです。

 

3. 差別を証明する方法は?

 

上記のような法があっても、実際の法廷の場では「それを差別とするか否か」という結論を出す為に、様々な検証がなされる必要があります。代表的な検証方法は以下の通りです。

  • Disparate Rejection Rates (4/5ths Rule)
  • Standard Deviation Rule
  • Restricted Policy
  • Population Comparisons
  • McDonnell-Douglas Test

上記の検証方法をもとに、XX会社が実施した採用や昇格の意思決定は、以下の2要素の有無を明確にしていきます。

  • Adverse (Disparate) Impact =集団に対して差別的な影響がある
  • Disparate Treatment =個人に対して差別的な扱いをした

一方、イレギュラーなケースではありますが、上記でも言及したように、法というものでマイノリティが優遇されるような事はないため、逆にマジョリティ人種が差別を受けた事を証明するReverse Discriminationという考え方も存在します。

 

4. 日本との違い

 

「私、おじいちゃんがメキシコ人なんだよね」

 

「俺、お父さんがブラジル人なんだ」

 

「俺、お父さんがフランス人なんだ」

 

こんな会話、耳にした事はありますでしょうか。日本でもハーフやクォーターの方々を多く目にしますが、アメリカ(特にCalifornia)では感覚値で2人に1人、ないしは3人に2人がアメリカ以外の国にNational Originを持っています。

 

この先、少子高齢化を迎え、労働人口がさらに減っていく日本は、規制緩和とともに多くの異なるNational Originを持つ人を迎えていく事になるんでしょう。

 

私が日本で生活していた頃は、差別という意識を強く持つ事はありませんでした。そして、なんで人は差別してしまうのだろう、よくない事だよね。なんて軽い事を考えていましたが、それは「違いに遭遇する機会の絶対的な少なさ」がもたらす無知だったなと感じています。

 

人は偏見を持ちます。そしてその偏見は差別と紙一重です。従って、私たちにも違いと触れる機会が多くなれば、必ず「差別という解釈」は発生してしまうんだろうと感じています。こちらでも様々な多様性を尊重する為に「Affirmative Action(弱者集団の不利な現状を、歴史的経緯や社会環境に鑑みた上で是正するための改善措置のこと)」や「Fair Treatment(例えば、休日というものをいつにするか。宗教上の休日を休日とするか、など)」という理解尊重を進める動きが展開されていますが、おそらく、日本企業も十年以内にこの考え方を学んでいく必要性が出てくるんではないかなと思います。

 

そんな事を考えながら、様々な人の価値観に触れていこう!と思うこの頃でした。

 

Masa

 

 

 

Chap1: HR(人事)の原理原則

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さて、今回のブログではHR (Human Resource=人事)について。人事といっても非常に幅広いので、様々なテーマについて書き記しておこうと思います。カルフォルニア、特にシリコンバレーの近いこのベイエリアは多様性(ダイバーシティ)に富んだ都市です。街を歩けば、様々な人種、カラー、宗教、ジェンダーに巡り会う事ができます。となると、改めて考えてみたい。
 
ダイバーシティってなんですか?
 
という言葉を。留学期間中に学びたかった事の一つです。日本でもよく言われる言葉ですしね。そんなダイバーシティに富んだエリアのHRは何を考え、どう行動すべきなのかを記していきたいと思います。※個人的な解釈も含まれますので、ご了承ください。
 
 
<これは書いておこう!と自分に期待しているテーマ>
  • 戦略的HRM
  • 労働法と労働環境
  • Job Analysis
  • 採用(募集と選考)
  • 面接
  • 教育開発(人材育成)
  • パフォーマンスマネジメント(評価)
  • 賃金制度
  • インセンティブ
  • 解雇
  • キャリアマネジメント
 
それでは、第一回。戦略的HRMです。
 
 
 
1. 人事に携わる人たちは何を目指す?
 
そもそも、人事は何を目指すべきなのか。
様々な企業で、様々な言葉が飛び交いますね。 
 
「適切な人材が、適切な場所で、適切なことを行えるように支援すること」
 
を目指すことが大切なんだよ。と、授業の中では言われていました。
英語でいうと、”The right person at the right place do the right things”という言葉になり、なんだかかっこいいです。
 
 
2. Human Resources Management(HRM)とは
 
こちらも人事にかかわる人にとっては基本的な言葉ですね。日本語で言うと人的資源管理(たまにタレントマネジメント)ですが、大事なポイントは”つながり”です。”ストーリー”ともいえます。「パフォーマンス(成果)」をすべての中心に置きながら、採用、選考、報酬およびその他の動機づけ、業績評価、トレーニング施策を展開する事。当然ながら、ビジネスストラテジーとも連動するため、可変連動的なものとなります(こちらではダイナミックHRMと呼ばれています。)
 
例) 
3年後にXX億のビジネスを展開するために、YY人の社員をZZ型の組織構造で実現する。
YY人の社員は既存社員A人、新規社員B人で構成し、既存社員A人を達成する中でも、昇格率D%でEのポジションを埋めていく。更に、人材の流動性も勘案しながら、定着理F %をKPIとする。このようなKPIを達成するためには評価報酬制度を整備する必要があり、BBのような人材開発施策によって理想の組織構造を目指す。しかし、一方で補いきれない人員の点においては、採用活動を行い、採用活動を強化する目的で報酬制度にもインセンティブ要素を加える。のような流れでしょうか。
 
 
上記の流れからすると、人事がどれだけビジネス戦略を理解しているか、が大事なポイントになりますね。裏を返すと、経営チームがどれだけビジネス戦略を人事に伝えているか、ということも大事な要素です。
 
 
3.人事は何を求められている?
 
過去、HRには3つの役割があったそうです。
①アドバイザリー:人事関連の問題を抱える現場のマネージャーを支援する
②サービス:仕事に関する悩みを持つ従業員を支援する
③コントロール:組織のHRポリシーを実行する
 
そして現在のHRの役割は以下の3つ。
①管理:記録を管理し、法令を遵守する
②運用:組織の運営方法を改善する
③戦略的:組織の長期目標に関与する
 
または以下の4つ。
  1. 戦略パートナー:従業員がより効果的にビジネス戦略を実行できるように、企業のアーキテクチャ(基盤システム、組織構造、指示命令系統、業務手順、ポリシーなど)を調整する方法を検討する。
  2. 管理部門の専門家:ビジネスの運用を見て、人事機能をより良く、より速く、より安価にどのように行うことができるかを判断します。
  3. 従業員チァンピオン:従業員の代表として意見・提言する
  4. チェンジエージェント:ビジネス環境の変化に伴う従業員の習慣変化のサポート
なるほど。人事ってこうあるべきなのか、と考える指標になります。
  
 
4.”戦略的人事”を実現するって何?
 
元GEで現在も人事パーソンとして著名な八木さん、神戸大学教授の金井さんが出された本から日本でも非常に身近な言葉になり、多くの人材系企業がその言葉を「人事は戦略的でなくてはならない」と、たくさんの広告を(笑)発信するようになりました。
 
そもそもの定義ですが、戦略的な人事とは以下の2つの要件を満たしていること、
が条件となるそうです。
 
①長期的な目線を持って人事施策を行う事
②ビジネスの戦略に紐付けた人事施策を行う事
 
5. 日本の人事との違い
 
日本企業は上記の「戦略的人事の条件」を満たしているのでしょうか。。。
例えば、3種の神器とも呼ばれた終身雇用型人事制度は入社後約40年後を見据えたスーパー長期的な人事施策です。
 
 
となると、何が日系企業における違和感(問題意識)につながっているのか。
自分なりの答えは、
 
 
「長期的過ぎな施策によって、短期的な成果を無視しすぎてしまうこと」
 
 
が日系企業の人事が陥っている状態なのかもしれないと思います。
または、
 
 
「成果というものの定義について、具体化や合意がなされていない」
 
 
のかもしれません。例えば研修の効果測定など。”満足度”が高ければOK”といった効果測定はどこの企業でも見られます。本質的には、参加者の行動変容を測定しなくてはならないのに、強いては組織成果の変化を測定しなくてはならないのに、人事部門が現場の部門にそこまで関与することは非常に稀なことなんではないでしょうか。研修担当者の第一歩としては、「ビジネスパフォーマンスに直結する成果を具体化して、起案者と参加者が合意すること」
 
これが難しい。なぜか?ということについても、次回のテーマと合わせて書いていきたいと思います。
 

https://www.amazon.com/Human-Resource-Management-15th-Dessler/dp/0134235452?ref_=Oct_TopRatedC_2637_2&pf_rd_p=c3e8df50-6b12-561b-9314-a7178d109c39&pf_rd_s=merchandised-search-6&pf_rd_t=101&pf_rd_i=2637&pf_rd_m=ATVPDKIKX0DER&pf_rd_r=Z192KYVMAQAFKX97BH01&pf_rd_r=Z192KYVMAQAFKX97BH01&pf_rd_p=c3e8df50-6b12-561b-9314-a7178d109c39

 
Masa
 
 

なぜ30歳を超えてからアメリカに留学したのか?

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はじめまして。2018年8月からアメリカカルフォルニアのUC Berkeleyで勉強中のMasaです。簡単に自己紹介です。

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<経歴>

1986年12月5日生まれ

神奈川県横浜市生まれ

青山学院大学経済学部卒業

新卒でベンチャー系人事コンサルティング会社へ入社。勤務中は、大手総合商社で2.5年へ出向し、帰任後Sales & Marketing部門のマネージャーを3年、執行役員を2年。

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現在こちらに来て4ヶ月とちょっとが経ちました。日々学んだことや感じたことを、もっと自分の中に取り込んでいきたい。そしていつか将来の自分が、過去の自分から学べるように、授業で学んだことや日々遭遇することなど自由に書いていきたいと思います。

 

さて。「なぜ米国に留学しようと思ったのか。」ということについて最初は書いていきたいと思います。昔の思い出も思い返しながら。

 

1. このままではいけない、という危機感。

 

大学時代までは野球を一生懸命。そこそこのバイト。典型的な日本人学生の生活を送っていました。

 

卒業後は東京で10年ほど働き、最終的にはとても充実した生活を送れていたと思います。新しい機会も多く、ビジネスやチームを大きくしていくこと、メンバーと達成感を感じること、様々な領域のプロフェッショナルな人とお会いすることは自分の人生を明らかに豊かにしていきました。一方で、様々な出来事に遭遇する中で、「自分は誰なのか」という事に対して明確な回答が出せない自分にも遭遇していました。具体的なきっかけは2012年ごろからだったと思います。

 

尊敬するTeach For Japanの創設者松田さんや、

teachforjapan.org

クロスフィールズの小沼さん

crossfields.jp

そんな方々とお会いしていく中で、もっと自分は世界を知りたいと思うようになりました。お二人が共通して言う言葉は、「自分の原体験は・・・」。自分の原体験てなんだろう、そんな事を考えるようになりました。

 

2. 人生は、短い。

 

2013年、家族が交通事故で亡くなる事がありました。実家にもろくに帰らずに、当日も職場で自分にとっては過去最大の提案をしている最中で、携帯電話の着信も無視しながら提案を続けていました。

 

 

すると職場に親友の一人である友人から電話がかかってきました。

わざわざなんだろう・・・と思いながら電話を出ると、そういうことでした。

 

 

あっという間に人生は終わる。

自分で人生の長さはコントロールできない。

そんな事を痛いほどに理解する、自分にとっては大きな出来事でした。

 

 

3. Gift(与えられたもの)ではなく、Choice(自分で選んだもの)を大切にする

 

大好きなスピーチの一つに、Amazonの創業者Jeff Bezosが言った言葉があります。

 

「自分自身のために、素敵な物語を作り上げる」

 

この学びは彼が幼少期に祖父母と旅行に出かけた頃の話を題材にしながら、

天才児であったJeffが祖母に見せた頭の良さが、ひどく彼女を傷付け、祖父から

「ジェフ、賢くなるよりも優しくなる事のほうがはるかに難しい事なんだよ」

与えられた才能を誇らしく思うのではなく、自分の選択を誇るに思おう。

そんな事を彼は言ったのです。

 

(以下参照)

logmi.jp

何もせずぼーっと人生を生きるのか、それとも自分の好きなことを追及していくのか?

皆と同じでいるか、それとも他の誰とも似ていないオリジナルでいるか?

安定を選ぶか、それとも挑戦し続けるか?

批判されたら落ち込むか、それとも自分を信じるか?

間違いを犯したらそれを隠そうとするか、それとも謝るか?

恋をする。傷つくことを怖がって何もしないでただ見ているだけか、それとも思い切って行動に移すか?

安定を取るか、それとも「バカじゃないのか?」と思われるようなことをやってみるか?

困難な状況に陥ったら、そこで諦めるか? それともがむしゃらになってやるか?

言い訳や批判ばかりするのか、それともやってみるか?

他の人を蹴落としてまで賢くなるか、それともやさしくなるか?

 

スティーブジョブズのスピーチも、それはそれは印象的でものすごく好きなスピーチです。ザッカーバーグのスピーチも、大好きなスピーチです。ただ今の自分にはこのスピーチが最も心に残るスピーチで今回のテーマにも沿ったスピーチだと思いチョイスしてみました。

 

 

Masa

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