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純ジャパ30歳を超えてからの”HR&Entrepreneur”アメリカ留学日記です。28歳で渡米を決意、29歳失敗。30歳失敗。31歳で渡米。人事コンサルティング会社で約10年働きました。2018年8月からアメリカ カルフォルニア州にある、UC Berkeley Haas Business School主催の「Berkeley Haas Global Access Program」でEntrepreneurship(起業家精神)を中心に勉強中。自分が学んだこと・感じたことを自由に書いています。

Chap3: Recruiting(採用)

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  1. リクルーティング(採用)の原則
  2. 採用活動を行う前の準備(Job Analysis)
  3. 選考の原則(何を見抜く?)
  4. 正しい選考とは
  5. 採用担当は「活躍してもらうこと」をゴールにできているか?

 今回は、採用について振り返っていきます。ご存知のように、米国と日本の採用環境は大きく異なります。基本的に、日本は新卒採用を中心に考え経験者採用はその次、という風潮ですが、米国は経験者採用を中心にしています。また、日本で当然のように考えられている「総合職」という職種は存在しません。営業職に配属予定なら「営業職」という「ポジションベース」での募集をかけています。日本で人事をされている方は、「日本のやり方が全てではない」ということをまず認識する必要がありますね。

 

また、採用とは

 

  採用 = 募集(集めて) × 選考(見抜く)

 

で成り立っている、ということを当然のように抑えなければいけません(それ以外にも入社させる、のような考え方はありますがまずは基本分解として2つにとどめます)。上記の考えに基づいて学んだこと・解釈を書いていこうと思います。

 

1. リクルーティング(採用)の原則
  • 「入社したらすぐに活躍してもらうこと」を前提とする
  • 採用したいボジションの仕事を具体化する
  • 具体化した仕事内容に必要な「知識・技術・能力(KSAs)」を言語化する
  • 高いレベルのKSAsを持つ集団を「ターゲット」として設定する
  • 母集団形成に最大限マッチするツールを使い、可能な限り最大の母集団を形成する(PR方法・選考方法)
  • 募集と評価の各段階で応募者の質を高めていく
  • 入社後にレビュー&フォローを行いつつ、最大限リテンションする

 

さて、日本との違いにお気づきでしょうか。「入社したらすぐに活躍してもらうこと」と言う点が大きな違いです。言葉のイメージになってしまいますが、比較するとこんな感じではないでしょうか。

 

  • 米国:入社したらすぐに(1年以内に)活躍してもらいたい
  • 日本:入社したらいつか(3年、5年、10年)活躍してもらいたい

 

こうなってくると、3年以内に活躍している要件に以下の要素が入ってきます。

 

  • 辞めないこと

 

なんです。従って、「辞めずに活躍してもらいたい」という採用要件になりますが必ずしも2つの要件は関連しないため、「誰が必要か」という問に対する回答を曖昧にしてしまいます。「入社後1年以内にXX円の営業成績を出してもらうために採用をしていない」

これが日本の採用を曖昧にする最大の理由です。この曖昧さは、いい点も悪い点もあるので一概に評価できない所が面白いポイントですね

  

また、母集団形成という観点においてはアメリカにも、所謂「求人メディア」というものが存在します。

 

www.livecareer.com

 
最近ではGoogleがこの領域に参入開始。うおーついに来たか、という感じですが今後どうなるのか、非常に楽しみな領域ですね。
 
 
2. 採用活動を行う前の準備(Job Analysis)
 

 「仕事における役割と必要なスキルを具体化し、どんな人材が採用されるべきかを具体化すること」

 
Job Analysisの定義は至ったシンプルです。しかし、日本の採用環境において、きちんと仕事を具体化し、パフォーマンス要因を可視化し、高いパフォーマンス発揮に必要な要件を十分なまでに可視化している会社はほとんど皆無に近しいかもしれません。その可視化度合いにおいては、アメリカにおいても高低あると言われていますが、まずこのアクションがとても重要であるということを押さえておく必要があります。
 
  1. 人事はビジネスゴールを実現するために、採用をする
  2. ビジネスゴールを実現するためには各社員が成果を生み出す必要がある
  3. 成果を生み出すためには、その成果創出に最も適した能力を持った人材が必要である
 
上記の考え方は、サッカーでイメージしてもらうといいと思います。FWには、スピードのある選手を。MFにはテクニックがある選手を。DFには体の強さを持った選手を。スピードだけがある選手を取っても「試合に負ける(ビジネスゴールを達成できない)」可能性が高く、「試合に勝つ(ビジネスゴールを達成する)」可能性を高くするためには、「適材適所」な人員構成で試合に臨む必要があるのです。
 
 
では、具体的に何を可視化する必要があるのか。
  1. 仕事のWhat・How・Why・When
  2. 上記に必要な行動
  3. 行動に伴い使用するツール(Mac book airを使う、C++を使う)
  4. レベルごとの行動基準(高いパフォーマンスの人は...、低い人は...)
  5. 1-4に必要な「知識・技術・能力(KSAs)」

 

上記の1-5までを可視化・言語化することがJob Analysisであり、ここまできちんとやらない(やれない)というのが日本の仕組みではないでしょうか。

 

bermasakeley.hatenablog.com

 

過去のブログでもお伝えした「ビジネスパフォーマンスに直結する成果を具体化して、起案者と参加者が合意すること」理由は、上記のようなJob Analysisがなされていないこと概査たる要因です。採用に置き換えると、以下の点が「なんとなくの採用」を進めてしまう要因です。

 

  • そもそも社員の目標や求める成果が曖昧で「とにかく一緒に働きたいと思えれば誰でもいい」という結論に至る
  • 採用担当と現場のコミュニケーションとして、「どんなKSAsを持った人材を、何人、なぜ」が会話されていない(or 会話がなされていても根拠が曖昧なまま決まる)
  • 人材像を作る採用担当が、そのポジションの仕事を実際に見たり、やってみたり、評価された経験がない
 
 
3. 選考の原則(何を見抜く?)
 
  • パフォーマンス= 「KSAs」×「モチベーション」

 

 上記の考え方をベースに、だからこそ、「KSAs」にフォーカスすることが大事です。選考はあくまでも将来を予測することですが、より普遍的な領域にフォーカスを当て、最大限、選考精度を高めていくことが求められます。KSAsそれぞれの違いは、野球選手に例えると、「知識」はバットの持ち方・振り方を知っているかどうか。「スキル」は知識をもとに練習し身につけたバットスイング。「能力」は結果的にボールを当てる動体視力だったり、筋肉量だったり、どちらかというと先天的な要素です。アメリカ人でも混乱するみたいですが、きちんと言葉で整理しておくと良いですね。

 

www.thebalancecareers.com

 

 

4. 正しい選考とは
 
正しい選考となっているか否かを判断する軸においては、3つのポイントがあります。
  • 信頼性が担保されている選考(何度やっても同じスコアが出る)
  • 有効性が担保されている選考(測りたいものを図っている)
  • 実行後に検証されている選考(測っていたものがパフォーマンスに関係しているかどうかを検証する)
代表的な検証方法として、コンテンツバリデーション、クライリオンリレイテドバリデーションと言う方法を用いる

 
5. 採用担当は「活躍してもらうこと」をゴールにできているか?
 
日本の採用との違いでいうと、とある巨大テクノロジー企業にインタビューをした中で気づいたことですが「採用した人の入社後の評価が採用チームのインセンティブに影響する」と言う仕組みを持つ企業が大半でした。個人的な経験としては、このような評価制度を持つ企業はあまり日本では聞いたことがありません。一般論として、「入社してもらうことをゴールとしない」ということはよく聞かれる話ですが、評価制度に組み込まれていないのであれば「採用チームに期待していることではない」と言うメッセージにもなるので経営者や管理職の目線からするとこの点を目標に置いていいのではないか?と感じます。
 
 
 
次回は、少しDetailになりますが「面接」というトピックを振り返っていきたいと思います。
 
 
Masa
 
  

 

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