Chap1: HR(人事)の原理原則
さて、今回のブログではHR (Human Resource=人事)について。人事といっても非常に幅広いので、様々なテーマについて書き記しておこうと思います。カルフォルニア、特にシリコンバレーの近いこのベイエリアは多様性(ダイバーシティ)に富んだ都市です。街を歩けば、様々な人種、カラー、宗教、ジェンダーに巡り会う事ができます。となると、改めて考えてみたい。
ダイバーシティってなんですか?
という言葉を。留学期間中に学びたかった事の一つです。日本でもよく言われる言葉ですしね。そんなダイバーシティに富んだエリアのHRは何を考え、どう行動すべきなのかを記していきたいと思います。※個人的な解釈も含まれますので、ご了承ください。
<これは書いておこう!と自分に期待しているテーマ>
- 戦略的HRM
- 労働法と労働環境
- Job Analysis
- 採用(募集と選考)
- 面接
- 教育開発(人材育成)
- パフォーマンスマネジメント(評価)
- 賃金制度
- インセンティブ
- 解雇
- キャリアマネジメント
それでは、第一回。戦略的HRMです。
1. 人事に携わる人たちは何を目指す?
そもそも、人事は何を目指すべきなのか。
様々な企業で、様々な言葉が飛び交いますね。
「適切な人材が、適切な場所で、適切なことを行えるように支援すること」
を目指すことが大切なんだよ。と、授業の中では言われていました。
英語でいうと、”The right person at the right place do the right things”という言葉になり、なんだかかっこいいです。
2. Human Resources Management(HRM)とは
こちらも人事にかかわる人にとっては基本的な言葉ですね。日本語で言うと人的資源管理(たまにタレントマネジメント)ですが、大事なポイントは”つながり”です。”ストーリー”ともいえます。「パフォーマンス(成果)」をすべての中心に置きながら、採用、選考、報酬およびその他の動機づけ、業績評価、トレーニング施策を展開する事。当然ながら、ビジネスストラテジーとも連動するため、可変連動的なものとなります(こちらではダイナミックHRMと呼ばれています。)
例)
3年後にXX億のビジネスを展開するために、YY人の社員をZZ型の組織構造で実現する。
YY人の社員は既存社員A人、新規社員B人で構成し、既存社員A人を達成する中でも、昇格率D%でEのポジションを埋めていく。更に、人材の流動性も勘案しながら、定着理F %をKPIとする。このようなKPIを達成するためには評価報酬制度を整備する必要があり、BBのような人材開発施策によって理想の組織構造を目指す。しかし、一方で補いきれない人員の点においては、採用活動を行い、採用活動を強化する目的で報酬制度にもインセンティブ要素を加える。のような流れでしょうか。
上記の流れからすると、人事がどれだけビジネス戦略を理解しているか、が大事なポイントになりますね。裏を返すと、経営チームがどれだけビジネス戦略を人事に伝えているか、ということも大事な要素です。
3.人事は何を求められている?
過去、HRには3つの役割があったそうです。
①アドバイザリー:人事関連の問題を抱える現場のマネージャーを支援する
②サービス:仕事に関する悩みを持つ従業員を支援する
③コントロール:組織のHRポリシーを実行する
そして現在のHRの役割は以下の3つ。
①管理:記録を管理し、法令を遵守する
②運用:組織の運営方法を改善する
③戦略的:組織の長期目標に関与する
または以下の4つ。
- 戦略パートナー:従業員がより効果的にビジネス戦略を実行できるように、企業のアーキテクチャ(基盤システム、組織構造、指示命令系統、業務手順、ポリシーなど)を調整する方法を検討する。
- 管理部門の専門家:ビジネスの運用を見て、人事機能をより良く、より速く、より安価にどのように行うことができるかを判断します。
- 従業員チァンピオン:従業員の代表として意見・提言する
- チェンジエージェント:ビジネス環境の変化に伴う従業員の習慣変化のサポート
なるほど。人事ってこうあるべきなのか、と考える指標になります。
4.”戦略的人事”を実現するって何?
元GEで現在も人事パーソンとして著名な八木さん、神戸大学教授の金井さんが出された本から日本でも非常に身近な言葉になり、多くの人材系企業がその言葉を「人事は戦略的でなくてはならない」と、たくさんの広告を(笑)発信するようになりました。
そもそもの定義ですが、戦略的な人事とは以下の2つの要件を満たしていること、
が条件となるそうです。
①長期的な目線を持って人事施策を行う事
②ビジネスの戦略に紐付けた人事施策を行う事
5. 日本の人事との違い
日本企業は上記の「戦略的人事の条件」を満たしているのでしょうか。。。
例えば、3種の神器とも呼ばれた終身雇用型人事制度は入社後約40年後を見据えたスーパー長期的な人事施策です。
となると、何が日系企業における違和感(問題意識)につながっているのか。
自分なりの答えは、
「長期的過ぎな施策によって、短期的な成果を無視しすぎてしまうこと」
が日系企業の人事が陥っている状態なのかもしれないと思います。
または、
「成果というものの定義について、具体化や合意がなされていない」
のかもしれません。例えば研修の効果測定など。”満足度”が高ければOK”といった効果測定はどこの企業でも見られます。本質的には、参加者の行動変容を測定しなくてはならないのに、強いては組織成果の変化を測定しなくてはならないのに、人事部門が現場の部門にそこまで関与することは非常に稀なことなんではないでしょうか。研修担当者の第一歩としては、「ビジネスパフォーマンスに直結する成果を具体化して、起案者と参加者が合意すること」。
これが難しい。なぜか?ということについても、次回のテーマと合わせて書いていきたいと思います。
Masa